#シニアの転職~こんな会社に気をつけろ!「清掃業界篇」


人生100年時代と言われても、老人に出来る仕事は少ない。60歳で定年を迎え、65歳の年金までの空白の5年間、大企業に勤め退職金がけっこうある人ならともかく、大した仕事もさせてもらえず、フリーターのような生活をせざるを得ない人は多い。そんな中シニアに甘い言葉をささやき、安く死ぬまでこき使おうとする会社もある。そのような会社に遭遇した経験を紹介しようと思う。

休息なし、休日なし、勤務時間改ざん、セクハラ・パワハラ、労働基準監督署の立ち入り検査は日常茶飯事!

世の中にブラック企業と呼ばれる企業がある。明確な定義は無いようだが、業界によってはグレーが当たり前の状況があり、白黒つけづらいのも事実である。「あなたの経歴に期待して採用します」と上手いこと言われ、まんまと数か月奴隷のようにこき使われた「清掃業界」体験談を披露します。

シニアは仕事を選べない・・・選べるのは概ね「警備」「清掃」「工場」「配達」「農業」のカテゴリーである。何かの国家資格を持たない限り、これまでのキャリアを捨て、この中から仕事を探すしか無い。その中で「エリアマネージャー募集」というコピーに魅かれ、はじめて清掃(正確には客室清掃)業界のドアを叩いたのが間違いの元でした。

その会社は関東に本社があり、そこそこの規模を持ち、西日本一帯のホテル・旅館の客室清掃を業とする会社でした。募集内容は、九州地区の各ホテルがアウトソーシングしている客室清掃の運営管理をするというものでした。九州各地を飛び回る仕事なら自分向きだと思い応募したところ、まさかのとんとん拍子で契約社員として入社することになりました。しかし、その日から地獄の日々が続くことなど思ってもいませんでした。結果、肉体的にも精神的にも病んで、いくつかの病院に通う羽目になり、このままでは殺されると感じ退職した次第です。

「あなたが甘かっただけでしょ」という批判もあるとは思いますが、地獄か天国かは人によって感じ方に違いがあると思われるので、これから、この会社で起きた客観的事実のみを列挙します。この事実・経験が地獄か天国か?この会社がブラックかホワイトか?判断してみてください。

その①

労働基準法第34条では6時間に対し45分の休息、8時間以上に対し60分の休息を与える必要があるが、この会社では6時間以上ぶっ通しで働かせた上、休息を与えたことにして45分間分のギャラを引いていた。おまけに早出させ働かせておいて待機時間として取り扱い、タイムカードを提示前に押させ1時間分のギャラを払わずにいた。これが発覚し、労働基準監督署から調査が数回あった。

その②

労働基準法第35条では「休日は労働の義務が無い日のこと」と定義されているが、この会社では「待機日」と解釈しているようで休日にもかかわらず、朝から晩まで電話・メールでひっきりなしに呼び出される上応答が遅いと注意される。また休日の前日、休日明けに企画書・報告書・シフト管理等書類の作成提出をするよう指示される。作成に半日以上かかるため、結果休日は無いのと同じ。

その③

労働基準法第35条では「勤務連続13日以上は違法」とされているが、この会社では当たり前となっていた。クチでは自分のスケジュールを見て休むように言うが、人材不足で休みは取れない。

その④

早出・残業をした場合、早出・残業をサービスとして早出・残業が無かったことにして勤務報告するよう指示された。また、繁忙期は1日休日を取るのではなく、半休を2日取るよう指示された。これでは毎日労働しているのと変わらない。

その⑤

各現場でセクハラ、パワハラが頻繁に起こりSNSで拡散された。各現場が無理なノルマ(例:10人6時間の作業を5人6時間でやらねばならない)を課せられているため、責任者による虚偽の報告、嫌がらせ、依怙贔屓(責任者が男性、スタッフの多くが女性の現場がほとんど)が起こる。

その⑥

エリアマネージャーの研修として現場研修をさせられていたが、3ケ月以上経っても何も変わらず、いつの間にか話が変わり現場作業者として雇用契約させられていた。また、当初言われていた給与より少ない金額で契約させられた。

如何ですか?上記が僅か3ケ月の間に実際に起こった事ですが、細かいパワハラ(年寄なのに雇ってやった。有難く思え的な)も沢山ありました。おかげで肉離れを3か所、腰痛・ひざ痛(チカラ仕事はほとんど男性がするので、客室清掃の作業は想像以上にかなりハードです)を発症、おまけに熱中症からはじまる自律神経失調症が発症してロクに休みも無いので肉体的・精神的にボロボロになりました。アルバイトであれば週3日6時間までと自分で決められますが、社員となるとアルバイトがやらない分まで全てやることになりハードな日々が続くことになります。突然アルバイトが休めば、急遽社員が出ることになりますが、この会社の管理職の人は決して現場に行きませんでした。下っ端に連絡して、休みであろうがなかろうが無理やり行かせただけです。清掃業界全体がこんな風では無いかもしれませんが、甘い言葉で誘われても、この業界でシニアが社員になるのはおススメしません。心と体を壊したら元も子もありません。