#煮干しラーメン~懐古名店 浅草「つし馬」


1日限定50食 バリ煮干しそば

 中華そば つし馬 (2018年閉店)

かつて東京浅草で本格的な津軽ラーメンを堪能できる店がありました。わたしの津軽ラーメンの初体験は、本場青森津軽ではなく東京浅草だったのです。当時仕事の関係で浅草によく行っていたこともあり、そしてもともとラーメン好きだが豚骨ラーメンに飽きていたこともあり、ふと目についた煮干しラーメンの店に飛び込んだのは自然の成り行きでした。その店は銀座線の1番出口から出て「かんのん通り」のアーケード内にありました。(現在:田中そば店)あっさりした醤油系の中に「1日限定50食 バリ煮干しそば」というのがあり、煮干しがそれほど好きというわけではないのですが、迷わず自販機でそのチケットを購入しました。中に入りカウンターで待つこと10分、インパクトの強い煮干しの香りと色、厚めのチャーシューにネギ、シナチク、中太麺の一品が登場しました。それは明らかに東京の中華そば、福島の喜多方ラーメンとは一線を画すものでした。それ以来私は煮干しラーメンに病みつきになり、とうとう青森津軽まで本場の味を確かめに行くこととなりました。

■ 津軽ラーメンとは?~青森県津軽地域独特の中華そば

寒いところに旨いラーメンあり!かの有名な太宰治、寺山修司の小説にも登場した青森県のラーメン。煮干し、焼き干しベースの個性的なスープが特徴です。大きくわけると、醤油風味が際立つ煮干し感の強い青森市系、魚の旨みが凝縮されつつもバランスのとれたマイルドスープの弘前市系、超濃厚魚介スープの煮干しガツン系3種類ほどあるといわれています。(参考:Wikipediaより)

■ 津軽ラーメン煮干し会(下記HPより)

津軽ラーメン煮干し会HPより

・長尾中華そば(青森市)
・中華そば ひらこ屋(青森市)
・出し屋 五丈軒(青森市)
・まるみサンライズ食堂(青森市)
・原食堂(青森市)
・高長まるしげ(青森市)
・中華そば 田むら(青森市)
・丸山らーめん(五所川原市)

原食堂
高長まるしげ
丸山ラーメン

煮干し、焼干を使った醤油味のスープを応用した和風味が特徴で、自家製の細ちぢれ麺をあわせたものが主流です。スープには豚骨や鶏がらなどを使用しない店もあります。トッピングは、ねぎ、チャーシュー、メンマ(シナチク)、麩(ふ)、がポピュラー。チャーシューは端に脂がついたロースの厚切りが多いです。なるとより麩が入っていることが多いのも津軽ラーメンの特徴です。

■ 煮干しラーメンの元祖、濃厚煮干し系を確立した「たかはし中華そば店」https://gurutabi.gnavi.co.jp/ より)

高橋中華そば店

青森県でも、弘前市を中心とした津軽エリアは「津軽ラーメン」と呼ばれる「煮干しラーメン」激戦区です。その代表格はなんといっても「たかはし中華そば店」。 麺は中太のちぢれ麺が使われており、スープは見ての通り煮干しの粉末が見え隠れするほど濁っています。煮干しをメインに4~5時間も煮込むというスープに麺を絡ませて勢いよくすすると、煮干しの独特な風味が味覚を強烈に刺激します。 「たかはし中華そば店」は「激にぼラーメン」という煮干しの味と香りを強く押し出した「濃厚煮干し系」を確立したラーメン店でもあります。 魚介系スープで「激にぼ」の金字塔とも呼ばれる「たかはし中華そば店」は、支店を出さないというポリシーがあるため系列店はありませんが、「たかはし系」と呼ばれる類似店が現れるほどその人気は絶大です。

■  情報!青森津軽煮干しラーメン 激にぼ (インスタントラーメン)

東洋水産HPより

どうしてもお店に行けないときはコレ!煮干しの風味が利いた青森津軽煮干しラーメンを、カップ麺で再現。濃厚煮干しスープのやみつきになる美味しさが特徴です。

photo byチー坊1985 tabelog

寒い冬に食べると、心も体も温かくなりました。煮干しの味と香りは日本人には無くてはならないですね。全国的にも煮干しラーメンの店は増えていますが、「つし馬」は是非復活してほしい名店です。嗚呼もう一度食べたい!